腰痛がマッサージで良くならない理由|脳と神経から考える慢性腰痛のメカニズム

その場はラクなのに、またすぐ痛くなる腰痛で悩んでいませんか?

・腰がつらくなるたびに、マッサージやもみほぐしに通っている
・受けた直後はラクになるけれど、数日〜1週間もするとまた痛みが戻ってしまう

ぎの整体院にも、こんなお悩みを抱えて来院される方がたくさんおられます。
「こんなに通っているのに、なぜ良くならないんだろう?」
「もっと強く揉んでもらえば、根本的に良くなるのかな?」
そう考えて、どんどん強い刺激を求めてしまう方も少なくありません。

この記事では、できるだけ専門用語を使わずに下記をお伝えしていきます。

  • なぜ「揉んでもすぐ戻る腰痛」が起こるのか

  • マッサージでは変わりにくい腰痛とは、どんなタイプなのか

  • ぎの整体院が「揉まない腰痛アプローチ」を大切にしている理由

途中で出てくる「神経学トレーニング」「ボディマッピング」については、詳しくは以下のページでも解説しています。
脳と神経から整える神経学トレーニング
ボディマッピングとは?
あわせてご覧いただくと、よりイメージしやすくなると思います。

1.今回のテーマは腰痛でも「慢性腰痛」

まず最初に、ここで扱う腰痛の範囲をはっきりさせておきます。

このページで対象にしているのは、下記の要件を満たす慢性腰痛です。

  • レントゲンやMRIなどの検査では
    「骨折・腫瘍・感染症・内臓の病気などの大きな異常はない」と言われている

  • それでも3か月以上、腰の痛みや重だるさが続いている

世界的にも腰痛の多くは「原因が特定しきれない(非特異的腰痛)」で、慢性腰痛の大部分を占めると報告されています。

「筋肉が硬いから」「骨盤が歪んでいるから」という単純な説明だけでは足りない、というのが現在の考え方です。

ですので、ここでは急性のギックリ腰(受傷直後の強い炎症)・明らかな骨折や病気に伴う腰痛については扱いません。
骨折・病気の疑いがあれば、まず整形外科や専門医での治療が最優先です。

2.マッサージは本当に腰痛に「効かない」のか?

ここで一度、マッサージと腰痛の関係について見直してみましょう。

2-1.短期的にはラクになることもある

研究レベルでは、急性〜亜急性の腰痛に対して、短期間の痛みの軽減やリラックス効果が見られた、という報告もあります。

つまり、「マッサージ=まったく意味がない」というわけではないです。

実際、リラックスストレス軽減睡眠の質の改善などは、間接的に痛みの緩和にも良い影響を与えます。

2-2.腰痛を根本から変える方法としてはエビデンスが弱い

一方で、慢性腰痛(3ヶ月以上続く腰痛)を長期的に改善させる主役としてマッサージが推奨されているわけではありません。

世界保健機関(WHO)の2023年ガイドラインを含む各種ガイドラインでは、慢性腰痛への基本的な対応として主に次のようなものが勧められています。
興味がある方は英文ですが翻訳機能使う等でこちらをお読み下さい。

  • 痛みの仕組みを理解するための教育

  • 個々に合わせた運動療法・エクササイズ

  • 認知行動療法などの心理的アプローチ

マッサージや徒手療法は、「補助的な選択肢のひとつ」という位置づけです。
揉めば改善するとまでは言えないのが、2025年時点での一般的な考え方です。

3.揉んでもすぐ戻る腰痛が起こる仕組み

「その場ではラクになるのに、またすぐ腰がつらくなる」

そんな腰痛の背景には、筋肉だけではなく脳と神経の働きが関わっていると考えられています。

ここでは、下記の流れでお話していきます。

  • 痛みを出す最終決定をしている「脳の危険判断」

  • 慢性腰痛で話題になる「中枢性感作」という考え方

  • なぜ強いマッサージが合わない人もいるのか

難しい単語も出てきますが、わかりやすく説明していきますので安心して下さい。

3-1.痛みは「脳の危険判断」という出力

ボディマップ

最近の痛み研究では、痛みは「腰から勝手に上がってくる信号」ではなく、脳が『ここは危ないかもしれない』と判断したときに出すブレーキ信号。
と説明されることが増えています。

脳はつねに、次のような情報をまとめて評価しています。

  • 筋肉・関節・神経からの刺激

  • 過去に腰を痛めた経験、「またギックリ腰になったらどうしよう」という記憶

  • 不安・ストレス・寝不足など心と体の状態

  • 仕事・部活・家庭の状況、「休めない」というプレッシャー

この情報を総合して、このまま動き続けると危ないか?
それとも、まだ動いて大丈夫か?
を一瞬で判断し、「ここは一旦ストップ」と判断したときに、痛み・動きの制限等の反応を出してストップをかけます。

このとき重要になるのが、脳の中にある 身体の地図(ボディマップ) です。

脳の中には、「からだのどこに、どの部分があるのか」という身体の地図(ボディマップ)があると言われています。
たとえば、目を閉じていても自分の腰や膝の位置がなんとなくわかるのは、この地図のおかげです。

ところが、この地図がぼんやりしてしまうと、腰がどの位置にあるのか・どのくらい曲げたり伸ばしたりしているのか?
これらの情報を脳が正確につかみにくくなります。

脳からすると、「からだの状態がよくわからない=本当に安全かどうか自信が持てない」という状況になるので、念のため強めにブレーキ(痛み)をかけてしまうことがあります。

当院では、この「脳の危険判断」と「身体の地図」のズレを整えるために、
脳と神経に働きかけるエクササイズをまとめた
脳と神経から整える神経学トレーニング

脳内の身体地図(ボディマップ)について解説した
ボディマッピングとは?
といった内容もご用意しています。

「痛みはどこから来るの?」と気になった方は、あわせて読んでみてください。

3-2.慢性腰痛と「中枢性感作」という考え方

痛みが何ヶ月も続くと、一部の人では脳や脊髄の痛みの回路が過敏になっている状態(中枢性感作)に近い変化が起こっているのではないか、という報告があります。

中枢性感作とは、かんたんに言うと、次の状態を指す言葉です。

  • 本来なら「そんなに痛くないはず」の刺激でも強く痛く感じてしまう

  • 別の場所の刺激まで「痛み」として広がって感じてしまう

慢性腰痛の人を調べた研究では、一部の人で、このような「痛みの過敏さ」が見られるが全員がそうなっているわけではない。
研究によって結果が違い、はっきりしない部分も残っているという報告もあります。

つまり、「慢性腰痛 = すべて中枢性感作」ではなく、そうした変化が関わっていそうな人もいる、という段階(未確立)というのが、今のところの位置づけです。

当院では、中枢性感作がある/ないを検査で断定することはできません。
ただ、「脳や脊髄の痛みの回路が少し敏感になっているかもしれない」という前提で脳への安心情報を増やしていく神経学トレーニングを重視しています。

脳幹の痛み抑制機構(下行性疼痛抑制系)や、橋・延髄網様体(PMRF)と痛みの関係については、
PMRF(橋・延髄網様体)と痛みの制御
で少し専門的に解説していますので、興味のある方はそちらもご覧ください。

3-3.強い刺激のマッサージが合わない人もいる理由

ここまでの内容をふまえて、なぜ「強いマッサージ」が合わない人がいるのかを考えてみます。

強いマッサージでは、痛いほど押される・我慢しないといけない強さで揉まれるといった刺激が続きます。
すると「また危険なことをされている」と脳が受け取り、防御として筋肉の緊張を高める可能性があります。

その結果として、次の「強さに頼り続けるパターン」にはまってしまうことがあります。

  • 受けた直後はすっきりするのに、すぐにこわばりやすい

  • 以前より弱い刺激でも痛みを感じやすくなる

  • 「もっと強く押してもらわないと効いた気がしない」と感じてしまう

このメカニズムが科学的に完全に証明されているわけではありません(未確立)。
これは当院で多くの方をみてきた中での臨床的な印象にもとづく考え方です。

4.強いマッサージと筋肉の関係について(整体師としての考え)

ここからは、厳密な医学的な話ではありません
整体師として多くの腰痛の方をみてきた中で感じている「考え方」をお伝えします。

4-1.強い刺激が入ると、まず脳が「危険」と判断する

マッサージは、筋肉に圧をかけてほぐしていく方法ですよね。

気持ちいいと感じる程度の刺激であれば問題ありません。

しかし、ぐいぐい押されるようなかなり強い刺激が入ると、身体のセンサー(受容器)から「強い圧が加わっている」という信号が脳に送られます。

腰痛が長く続いている方や、もともと痛みに敏感になっている方では、脳がその強い刺激を「これは危険かもしれない」と受け取りやすくなります。

その結果、筋肉をギュッと硬くするといった防御反応としての緊張が起こると考えられます。

4-2.くり返されると「慣れ」と「依存」が起きやすい

同じような強い刺激を何度もくり返し受けていると、脳が「このくらいの強さなら、いつものことだ」と慣れ(耐性)ていきます。

すると、次のように強さのエスカレートが起こりやすくなります。

  • 以前は「強い」と感じていた刺激が、だんだん「普通」に感じる

  • 前と同じ強さでは物足りなくなり、「もっと強く押してほしい」と感じてしまう

ここがやっかいなところで、刺激に慣れているためスッキリして気持ち良い。
しかし、身体にとっては「強い刺激に対応するための硬い筋肉」当たり前になっていくのです。

4-3.強い刺激に耐えるための筋肉になっていくイメージ

強い刺激をくり返し入れていると、次のような流れになると考えています。

  1. 強い刺激が入るたびに、脳が防御反応として筋肉を固める

  2. それに何度もさらされることで、「強い刺激に耐えること」が習慣になる

  3. 結果として、強いマッサージに対応するための硬い筋肉の状態ができてしまう

最初は気持ちよかったマッサージの強さが物足りなくなり、「もっと強く」というパターンにはまってしまう方は多いです。

ここで大事なのは、「マッサージを受けると必ず筋肉が硬くなる」という意味では無いです。
適度な強さであれば、リラックスや安心感が得られて、結果的に痛みが和らぐ方もいます。

ただ、「強ければ強いほど良い」「効いている=痛いくらいがちょうどいい」とは限りません。
この視点は、頭の片すみに置いておいていただきたいと考えています。

5.ぎの整体院が「揉まない腰痛アプローチ」を大事にする理由

ここまでお読みいただくと、「じゃあ具体的に何をするの?」という疑問が出てくると思います。
ぎの整体院では、強く揉む・無理なストレッチといった方法は行っていません。

代わりに、ソフトな整体・神経ストレッチ・軽い運動療法(神経学トレーニングの一部)を行います。
これで、脳が「この動きなら安全だ」と感じられる経験を少しずつ増やしていくことを大切にしています。

当院では、腰痛を「腰そのものの問題」とは考えていません。
「脳に届く情報と、脳の身体地図(ボディマップ)の問題」として捉えています。

  • 身体の位置感覚がぼんやりしている

  • 腰の周りだけでなく、足首・股関節・背骨・目や耳の情報処理にも偏りがある

こうした情報のゆがみ(ボディマップのエラー)があると、脳は安全・危険の判断をしにくくなり、結果として「痛み」というブレーキに頼りやすくなります。

ボディマップについては、こちらで詳しく解説しています。
ボディマッピングとは?
ボディマッピングで痛みや動きを予測する考え方

腰痛だけでなく、姿勢やバランスの悩みがある方も参考になる内容です。

それぞれの考え方・具体例は、以下のページでも詳しくご紹介しています。
脳と神経から整える神経学トレーニング
神経ストレッチの目的と注意点
運動療法(神経学トレーニングの一例)

「文章だけではイメージしづらい…」という方は、まずこれらのページから読んでいただくと、施術の全体像がつかみやすくなります。

7.「脳と神経から腰痛を整えたい」とお考えの方へ

  • 「検査では異常がないと言われたけれど、腰痛が続いて日常生活に困っている」

  • 「強く揉んでもらうほど不安になるので、別の視点から整えたい」

  • 「根本的に体の使い方や脳の反応から変えていきたい」

「私の腰痛はこの方法で良くなる可能性があるのかな?」
と感じた方は、LINEまたはお問い合わせフォームから、現在の状態やお悩みを簡単にメッセージしていただければと思います。

一人で不安を抱え込まず、脳と神経の働きから腰痛を見直すという新しい選択肢を、ぜひ知っておいてください。

腰痛について詳しくはこちら

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