ゴルフスイングの捻転不足は胸椎と股関節から整える|神経学トレーニングで飛距離と腰を守る

「スイングで腰が回らない…」
「もっと捻転したいのに、身体がついてこない」
「練習をすると腰が痛くなる」

こんな悩みを抱えているゴルファーは本当に多いです。

結論として、捻転不足の主なカギは「腰」ではなく 胸椎股関節にあります。
今回はこの胸椎・股関節ゴルフの捻転の関係を解説していきます。
また、捻転不足改善のために大事な、脳と神経のコントロール(ボディマップ)の考え方わかりやすくお伝えします。

私はゴルフは未経験ですが、かつてダンロップフェニックスゴルフトーナメント公式トレーナーとして選手サポートした経験があります。
正直に言うと、スイングの技術指導そのものは専門外です。
しかし、神経学の視点から、「身体の使い方」や「スイング時に気になる部分」を神経の働きから整えることは専門分野です。
そのうえで、胸椎や股関節の可動性と神経機能を整えることで、スイングの土台となる身体づくりをサポートできると考えています。

この記事では、下記をできるだけわかりやすくお伝えします。

  • なぜ「腰」はそもそもあまり回らないのか(解剖学的な理由)

  • ゴルフスイングの捻転を担っているのが、胸椎と股関節であること

  • 神経学トレーニングで、胸椎・股関節の動きを「脳から」改善していく考え方

ダンロップフェニックス ゴルフトーナメント

1.ゴルフの「捻転不足」は本当に腰の問題?

最初に押さえたいのは、「腰は回るけれど、腰椎はほとんど回らない構造という事実です。
多くの方は「腰が回らない=腰椎が硬い」とイメージしがちです。
実際のスイングで大きく回っているのは主に胸椎と股関節です。

  • 腰椎の回旋可動域:全体で約5〜15度

  • 胸椎の回旋可動域:全体で約30〜40度

  • 股関節の回旋可動域:内旋40度外旋45度

つまり、
「腰をもっと回さなきゃ」と頑張る→ 構造的に回らない腰椎に無理をかける
→ 捻転不足も腰痛も悪化しやすい
ということが起こりやすくなります。

ここからは、「腰はあまり回らない構造」をもう少し具体的に見ていきます。

2.腰椎が回旋しにくい解剖学的な理由

この章では、下記をざっくり押さえていきます。

  • 椎間関節とは何か

  • なぜ腰椎の椎間関節は「捻るのが苦手」なのか

2-1.椎間関節とは?(スイング中の「蝶番」)

関節突起 椎間関節

背骨(脊椎)は、24個(頚椎7個+胸椎12個+腰椎5個)の椎骨が積み重なってできています。
それぞれの椎骨をつなぐ小さな関節が椎間関節です。

  • 椎骨の下関節突起と、その下の椎骨の上関節突起で構成される

  • 背中側に左右1組ずつ

  • 椎骨1つあたり、上下左右で合計4つの関節面がある

この椎間関節が、ゴルフスイング中の次のような動きを支えています。
・アドレス姿勢の前傾(前屈)
・バックスイングやフォローでの体幹の反り(後屈)
・スイング中の側方への傾き(側屈)
・上半身の回旋(ショルダーターン)

イメージとしては、上下の椎骨が噛み合う椎間関節が「ドアの蝶番」の役割をしています。
蝶番にあたる関節面の向きで、「前後には倒れやすいけれど、ねじる方向にはあまり動けない」など、その背骨がどんな動きは得意で、どんな動きは苦手が決まります

2-2.腰椎の椎間関節は回旋が苦手

腰椎 椎間関節

腰部分の背骨が腰椎です。
腰椎の椎間関節には、次の特徴があります。

  • 関節面がほぼ垂直に近い角度で並んでいる

  • 上下の関節突起が、しっかりかみ合うような構造

このため、腰椎で大きく捻ろうとすると上下の関節突起同士が物理的にぶつかります。
結果として 回旋動作が制限されるという仕組みになっています。
腰椎は5個ありますが、全体での回旋可動域は約5〜15度
最大15度なので多くの人は、ここまで回らないと言われています。

つまり、「腰をもっとひねれ」と言われても、腰椎はそれほど回らない設計なのです。

3.ゴルフスイングの捻転を生み出す胸椎の役割

次に、ゴルフスイングの「ショルダーターン」の主役である胸椎について見ていきます。

3-1.胸椎は「構造」と「数」で回旋の主役

椎間関節 胸椎 腰椎

先ほど見たように、腰椎の椎間関節は関節面がほぼ縦に近い向きで並びます。
そのため、前後には動きやすいですが、る動きでは上下の関節どうしがぶつかりやすい構造でした。

これに対して胸椎の椎間関節の構造は、やや斜め向き関節面です。
この構造は、回旋方向にすべりやすいという特徴があります。

つまり、腰椎は前屈・後屈は得意ですが構造的に回旋は出にくい。
胸椎は前後だけでなく、左右への回旋もしやすい構造なのです。

さらに、数の面でも胸椎は有利です。

  • 腰椎:5個で、全体の回旋は約5〜15度

  • 胸椎:12個あり、全体で約30〜40度の回旋が可能

このように構造的にも、数の面でも胸椎のほうが捻りやすいのです。

ゴルフスイングのショルダーターンは、本来「腰」ではなく胸椎が主役と考えたほうが、身体の仕組みに合っています。
「腰をひねる」より「胸のあたり(胸椎)から上半身を回す」イメージを持つことが、捻転不足と腰の負担を同時に減らすうえでも大切です。

4.ゴルフスイングと股関節の回旋能力

次に、スイングの下半身側の要である股関節を見ていきます。

4-1.股関節は「大きく動ける球(臼)関節」

股関節

股関節は、骨盤のくぼみ(寛骨臼)の中に大腿骨の丸い骨頭がはまり込むという構造をした球(臼)関節です。

  • 肩関節と並び、全身の中でも可動域が非常に大きい関節

  • 多方向の動き(屈曲・伸展・内転・外転・内旋・外旋)を担う

ただし、骨だけでは安定しません。
そのため、周囲の筋肉・靱帯・関節唇などが、骨頭を包み込むように支持して安定性を保っています。

4-2.股関節と体幹の回旋メカニズム

体幹をひねるとき、股関節では「内旋」と「外旋」がペアで起こっています。
文章だけだとイメージしづらいので、右にひねる動きを例に説明します。

1)まずは動きをイメージ
足はその場から動かさず、上半身だけを右方向にひねる動きを思い浮かべてください。
足は地面にベタッと固定して身体(骨盤〜胸)が右に回る動きです。

このとき、右と左の股関節では別々の動きが起きています。

2)右股関節(後ろ側になる足)の動き
右にひねると、骨盤は右へ回ろうとしますが、右足は地面に固定されたままです。
すると、骨盤だけが右へ回り、右の大腿骨(太ももの骨)はその場に残ろうとする関係になります。
結果として「骨盤に対して大腿骨が内側にねじれた=右股関節が内旋」になります。

3)左股関節(前側になる足)の動き
左側ではそのが起こります。
骨盤が右へ回り、左の大腿骨は骨盤に対して相対的に外側を向いた形になる
このとき、「骨盤に対して大腿骨が外側にねじれた=左股関節が外旋」になります。

4)左右セットで体幹の回旋を支える
足を地面につけたまま体を右にひねるときは、下記の動きがセットで出て、骨盤〜体幹全体の回旋を支えています。

  • 右股関節:内旋方向

  • 左股関節:外旋方向

左にひねるときは、このパターンが左右逆になるとイメージしてください。

股関節の内外旋の可動域は、一般的に内旋は約40度、外旋は約45度
腰椎全体の回旋可動域5〜15度と比べると、比較にならないほど大きな動きが出せます。

このように、「股関節の内旋・外旋の組み合わせ」が、ゴルフスイングに必要な体幹の回転を下半身側から支えます。

5.胸椎・股関節の回旋不足が腰痛を招く流れ

ゴルフ 腰痛

ここまでを踏まえると、下記であることがわかります。

  • 捻転の主役:胸椎と股関節

  • 腰椎:大きな回旋が苦手

しかし現実には、胸椎が硬く・股関節がうまく回らない状態でも、スイング自体はしなければなりません。

5-1.「動かない所」をかばって腰椎が無理をする

胸椎と股関節の回旋が不足している状態で、同じくらい身体をひねってスイングすると次のようなことが起こります。

  1. 胸椎と股関節の可動域が足りない

  2. その分を腰椎まわりが代わりに動こうとする

  3. 構造的に回旋が苦手な腰椎に、ねじりストレスが集中する

  4. 繰り返すうちに、腰椎や周囲の組織に小さな負担が蓄積する

これが、
「スイングのたびに腰が重い」
「ラウンドの翌日に腰が辛い」
といったゴルファー特有の腰痛につながると考えられます。

5-2.腰だけを揉んでも「根本」は変わりにくい

このタイプの腰痛では、原因は「腰椎そのもの」よりも下記であることが多いです。

  • 胸椎・股関節の回旋不足

  • それに伴う、脳と神経系の「動きのプログラム」

そのため、腰だけのマッサージ・ストレッチというアプローチは、一時的に楽になっても再発しやすい状態と言えます。

6.捻転不足は「神経学トレーニング」で変える

ゴルフ

ぎの整体院では、ゴルフの捻転不足やスイングでの腰の違和感を筋肉や関節だけの問題とは考えていません。
脳と神経が身体をどうコントロールしているかという視点からみています。

6-1.ボディマップ(身体地図)と胸椎・股関節の関係

ボディマップ

この章では、「なぜ胸椎や股関節の動きが悪いと、腰ばかり頑張ってしまうのか」を、脳と神経の働き(ボディマップ)の視点から説明します。

ゴルフスイングの話をしてきましたが、ここから「脳と神経」の視点も加えてみます。
脳の中には、「自分の身体が今どうなっているか」をざっくりとつかんでいる全身のイメージ図があると考えられています。

たとえば、下記の情報をひとまとめにした「身体のイメージ」です。

  • 胸椎はこのあたりにあって、今どのくらいひねっているか

  • 股関節がどの位置で、右にどれくらい、左にどれくらい体重が乗っているか

  • どの筋肉にどの程度力が入っているか

この脳の中にある全身のイメージ図を地図にたとえて呼んだものが、ボディマップ(身体地図)です。

目を閉じていても、自分の上半身がどちらに向いているか・股関節がどのくらい曲がっているかが何となくわかるのは、このボディマップのおかげです。

6-2.胸椎・股関節の動きとボディマップのズレ

股関節の不調 ボディマッピング

胸椎や股関節の動きが悪い状態が続くと、「ここは動きにくい」「いつも固まっている」といった動きが悪い情報ばかりが脳に送られます。
悪い情報ボディマップが上書きされていくと、その部分のボディマップが実際よりも「動きが悪い場所」として記憶されてしまいます。
結果としてボディマップ自体が正確さを失い、いわゆるぼやけた状態になっていきます。

脳からすると、「本当はどこまで回していいのか」「どの位置がニュートラルなのか」が自信を持ってつかみにくくなるイメージです。

その結果として、下記の反応が出やすくなります。

  • 安全のために腰まわりの筋肉を余計に固めてしまう

  • 胸椎や股関節が動かない分、構造的に回旋が苦手な腰椎にしわ寄せが来る

  • 「これ以上ひねるのが怖い」「ここから先が回らない」という感覚が強くなる

逆に、胸椎や股関節を「痛くない範囲」で丁寧に動かしながら、脳に「ここまでは安全に回せる」「このポジションが心地よい」という情報を送り直していくと、ボディマップが少しずつ正確になっていきます。

その結果、腰だけに負担を集中させず、全身を使ったスムーズな捻転が行いやすくなります。

6-3.胸椎・股関節を「神経から」動かし直す

当院で行っている神経学トレーニングでは、胸椎・股関節・足首などを小さな範囲から丁寧に動かす
「どこが、どの方向に、どれくらい動いているか」という情報を脳に正しく送ることを大切にしています。

具体的には、下記をその人の状態に合わせて組み合わせていきます。

  • 目や三半規管(前庭系)からの入力を使ったバランストレーニング

  • 神経ストレッチ(神経に軽く伸びとゆるみを出し入れする運動)

  • ゴルフスイングに近い動きを、痛みのない範囲から再学習させていく運動療法

それぞれの考え方は、こちらでも詳しく解説しています。
脳と神経から整える神経学トレーニング
運動療法(神経学トレーニングの一例)
神経ストレッチの目的と注意点

7.ゴルフの捻転不足・スイングで腰が気になる方へ

ゴルフの捻転不足や「腰が回らない」感覚の原因は、必ずしも腰そのものではありません。

腰椎の回旋は全体で約5〜15度しかなく、もともと大きくひねるのが苦手な場所です。
一方で、胸椎は約30〜40度、股関節は内旋約40度・外旋約45度と、腰椎とは比べものにならないほど大きく回旋できます。

胸椎や股関節が硬いままスイングを続けると、本来あまり回らない腰椎にムリがかかり、捻転不足と腰の張り・痛みがセットで起こりやすくなります。

たとえば、こんな方は一度からだの使い方と神経の働きから見直すタイミングかもしれません。

  • 捻転不足と言われ、腰だけひねろうとして余計つらくなる

  • 練習量が増えると必ず腰が張る・痛くなる

  • 片側だけ詰まる・引っかかる感じが強い

  • ストレッチや筋トレをしても、捻転の感覚がほとんど変わらない

腰だけを何とかしようとするのではなく、胸椎・股関節・神経の働きまで含めて整えることが、捻転不足と腰の不安を減らす近道だと考えています。
ゴルフの捻転不足やスイング中の腰の違和感でお悩みの方は、一人で抱え込まずご相談ください。

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